「行きつけの店」と呼べる場所を持っているだろうか。店に入って、何も言わなくても「いつもの?」と聞かれる、あの店だ。
僕は行きつけの店は人生の固定資産やと思っている。この記事では、僕の行きつけができるまでの話と、人見知りの人でも真似できる常連への3ステップを書く。
行きつけの定義
まず言葉の整理から。ここで言う行きつけは「高頻度で通う店」ではない。「店の人と相互に認識がある店」のことだ。
月1回しか行かなくても、顔を覚えられていて、軽口の一つも交わせるなら立派な行きつけである。逆に週3で通っていても、無言で食べて無言で帰るだけなら、それはただの近い店だ。
この「相互認識」があるかどうかで、同じ店が全く違う場所になる。
僕の行きつけができるまで
会社の近くに、カウンター8席の小さな居酒屋がある。最初は残業帰りに一人で入った、ただの店だった。
2回目、たまたま同じ曜日の同じ時間に行った。3回目も。すると大将から「お兄さん、火曜の人やね」と言われた。名前より先に、曜日で覚えられた。
そこからは早かった。おすすめを聞けば「この前のより今日のカツオがええよ」と前回を踏まえた返事がくる。隣の常連さんを「この人も火曜組」と紹介される。気づけば、一人で行っても一人にならない店になっていた。
常連への3ステップ
この経験から抽出した、再現性のありそうなステップは3つだ。
- 曜日と時間を固定して3回行く。店の人は「顔」より「パターン」で客を覚える。バラバラに10回行くより、同じ時間に3回行くほうが早い。
- カウンターに座って、一言だけ足す。注文のついでに「これ、うまいですね」だけでいい。会話を続ける必要はない。一言の積み重ねが「感じのええ客」を作る。人見知りでも一言ならいける。
- 店が暇な時間帯を狙う。満席の金曜より、空いている平日の早い時間。店の人に余裕があるときほど、客を覚える余白がある。
共通するのは、頑張って話しかけにいかないことだ。常連は「なる」ものではなく、通っているうちに「なっている」ものである。
常連の何がええのか
行きつけを固定資産と呼ぶのには理由がある。利回りが複利的に増えていくからだ。
まず、街に居場所ができる。仕事で凹んだ日に「おかえり」的な顔をしてくれる場所があるのは、想像以上に効く。
次に、情報と人が集まってくる。旨い店の情報は店の人から、面白い人は常連の横の繋がりから来る。僕は行きつけ経由で、業種も年齢もバラバラの飲み仲間を手に入れた。会社と家の往復では絶対に会えへん人たちだ。この辺の人集めの楽しさは幹事術の記事に書いた話とも繋がっている。
いつか迎える側になる
僕の野望は毎日パーティすることで、最終的には自分のカフェバーを持つ計画がある。つまり、いつかは常連を「迎える側」に回るつもりだ。
だから今は、客としていろんな店の大将のふるまいを観察している。どの店主も、客の名前より先に「パターン」と「好み」を覚えている。覚えられる側の経験は、そのまま迎える側の教科書になる。
行きつけ通いは、僕にとって娯楽であり視察でもある。我ながら天才的な一石二鳥やと思う。
まとめ
要点は3つ。
- 行きつけとは「相互認識のある店」。頻度ではなく認識で決まる
- コツは「曜日と時間を固定して3回」「一言だけ足す」「暇な時間帯を狙う」
- 行きつけは居場所・情報・人脈を生む固定資産になる
まずは近所の気になる店に、同じ曜日の同じ時間で3回行ってみてほしい。3回目、店の人の目が「知ってる人」の目に変わる瞬間が分かるはずだ。