仕事・人生論

コードより雑談やった。6年目エンジニアが手戻り3日で学んだこと

社会人6年目、モバイルアプリ開発のエンジニアをやっている。この6年でいちばん仕事に効いたスキルは何かと聞かれたら、迷わず「雑談」と答える。

技術力さえ磨けば仕事は速くなる。そう信じていた僕が、3日分の手戻りをきっかけに考えを改めた話を書く。職場の会話がちょっと苦手、という人に届いたら嬉しい。

手戻り3日の事件

5年目のある日、担当アプリの新機能をつくっていた。仕様書には「一覧画面に検索機能を追加」とだけ書いてあった。

僕は気を利かせたつもりで、複数条件の絞り込みフィルタ付きのリッチな検索をつくり込んだ。3日かけて実装して、意気揚々とレビューに出した。

返ってきた言葉は「ここまで要らないです。名前で探せるだけでよかった」。企画の人が欲しかったのは、ただの部分一致検索やった。3日が溶けた瞬間である。しかもつくり込んだ分だけコードの削除も面倒で、後始末にさらに半日かかった。

仕様書は全部を語らない

このとき学んだのは、仕様書には「決まったこと」しか書いていない、ということだ。なぜそれが欲しいのか、誰がどんな場面で使うのか、どこまでやれば十分なのか。そういう温度感は、書いた人の頭の中にしかない。

文字になった時点で背景は抜け落ちる。読み手の僕が想像で埋めれば、ズレるのは当たり前だった。悪いのは仕様書ではなく、確認しなかった僕のほうだ。

逆に言えば、実装前に企画の人と5分話すだけでこのズレはほぼ消える。「これって誰がどんな場面で使うんですか」の一言でいい。5分の会話が3日を守る。投資対効果で言えば圧倒的だ。あの事件以来、僕は着手前の雑談込みの確認を欠かしたことがない。

雑談は投資である

それ以来、僕は雑談を「サボり」ではなく「投資」と考えるようになった。

普段から話している相手には、質問のハードルが下がる。仕様で迷ったとき、チャットで長文の依頼文を練らなくても「あれってどういう意図ですか」と気軽に聞ける。この気軽さが、確認の回数を増やし、結果として手戻りを減らす。

それに、雑談で貯めた信頼は困ったときに引き出せる。障害対応で無理なお願いをするとき、日頃の関係があるかどうかで相手の動きは全然違う。もともと人と話すのが好きな性格に、仕事上の意味がついてきた感じだ。好きなことが武器になるんやから、やらん理由がない。

話しかけるコツ3つ

とはいえ「その雑談が苦手やから困ってるんや」という人も多いと思う。僕が意識しているコツは3つある。

  • 用件に雑談を1つ足す。ゼロから話しかけるのは難しいが、用件があるときなら自然に話せる。質問のあとに「そういえば最近どうですか」を足すだけでいい。
  • 相手の変化を観る。デスクの新しいガジェット、ランチの話題、髪型。観察していれば話の種は勝手に増える。
  • 自分の失敗を先に開示する。「この前3日分手戻りしまして」と自分から言えば、相手も本音を話しやすくなる。弱みの開示は最速の距離の詰め方だ。

共通しているのは、言葉の表面ではなく相手そのものをよく観ることだ。言葉の意味を思い込みで受け取らない、という話はポケモンEDと推し文化の記事でも書いた。根っこは同じである。

飲み会も仕事のうち

ここまで読んだ人には想像がつくと思うが、僕は飲み会が大好きだ。なにせ野望が「毎日パーティすること」なので、宴会は人生の目的そのものである。飲み会は世界平和に繋がると、わりと本気で思っている。

冗談抜きで、職場の飲み会は雑談の延長線上にある強力な場だ。役職も部署も関係なく話せて、翌日から仕事の連携が目に見えて軽くなる。僕は転職の情報も、新しい技術の話も、だいたい飲みの席で仕入れてきた。

もちろん強制はあかん。行きたい人が楽しく行けばいい。ただ「行けば得することが多い場」だということは、6年やってきた実感として断言できる。

まとめ

要点は3つ。

  • 仕様書より会話。実装前の5分の確認が3日の手戻りを防ぐ
  • 雑談は信頼の積み立て投資。困ったときに引き出せる
  • コツは「用件に雑談を足す」「相手を観る」「失敗を先に開示する」

技術の勉強はもちろん続ける。ただ、コードを書く前にまず人と話す。これが6年目の僕がたどり着いた、いちばん再現性の高い仕事術だ。天才やから断言するけど、雑談は明日から使える最強の開発ツールである。

-仕事・人生論
-