「人に頼るのが苦手」という人は多い。かつての僕もそうだった。質問したら無能だと思われる気がして、なんでも1人で抱え込んでいた。
結論から言うと、頼るのは弱さではなくスキルだ。抱え込んで炎上しかけた実体験と、そこから覚えた「頼る技術」を3つ書く。いま1人で抱えている人に読んでほしい。
「順調です」で炎上しかけた
社会人1年目の冬、初めてまとまった開発タスクを任された。嬉しくて、そして質問できなくて、詰まっていることを隠したまま進捗会議で「順調です」と言い続けた。
実際は、環境まわりのエラーが解決できずに1週間近く空転していた。発覚したのは納期の3日前。先輩が総出でフォローしてくれて、納期には間に合った。エラー自体は、先輩に見せたら30分で解決した。
1週間悩んだものが30分である。このとき僕は、自分のプライドが会社の1週間を溶かしたことを理解した。
頼れない理由の正体
なぜ頼れなかったのか。突き詰めると「評価が下がる恐怖」だった。質問したら「そんなことも分からんのか」と思われる気がしていた。
でも先輩になった今なら分かる。評価が下がるのは、質問する人ではなく、黙って抱えて締切直前に爆発させる人だ。質問は早いほど傷が浅く、周りもフォローしやすい。
むしろ質問してくる後輩のほうが、状況が見える分だけ安心して仕事を任せられる。あの頃の僕に教えたい。怖がる方向が真逆やで、と。
頼ることは信頼の表明
もう一つ、頼られる側になって気づいたことがある。頼られるのは、単純に嬉しい。
「この人なら助けてくれる」と見込まれたということだからだ。つまり頼るという行為は、相手への信頼の表明でもある。遠慮して頼らないのは、その表明の機会を相手から奪っているとも言える。
もちろん丸投げは論外だ。でも、ちゃんと考えた上での「助けてください」は、人間関係の預金になる。頼って、感謝して、今度は自分が頼られる。この循環ができた職場は強い。
頼る技術3つ
とはいえ、やみくもに頼ればいいわけではない。僕が後輩に伝えている技術は3つある。
- 15分ルールを決める。15分調べて進展がなければ、人に聞く。「悩む時間の上限」を先に決めておけば、抱え込みは仕組みで防げる。ちなみに15分は「自分で調べる訓練」との両立ライン。
- 経過を見せて聞く。「分かりません」ではなく「ここまで調べて、AとBを試して、ここで詰まってます」と聞く。相手の負担が減るし、考えた跡が伝わるので印象も真逆になる。
- 結果を報告して締める。「あの件、教えてもらった方法で解決しました」まで伝えて1セット。この一言があるだけで、次も気持ちよく助けてもらえる。頼りっぱなしは信頼を削る。
職場の外でも同じ
この「頼る技術」、職場に限った話ではないと思っている。
僕は、人はもっと身の回りの人を頼り合って生きるべきやと本気で思っている。引っ越しの手伝い、子どもの送り迎え、ちょっとした相談。昔の長屋的な頼り合いは、現代でも全然機能する。
幸い僕には、飲み会で育てた頼れる関係がたくさんある。会話が信頼の預金になる話はコードより雑談やったの記事に書いたとおりだ。雑談で口座を開いて、頼り合いで残高を回す。これが僕の人づきあいの基本設計である。
まとめ
要点は3つ。
- 評価が下がるのは質問する人ではなく、黙って爆発させる人
- 頼るのは相手への信頼の表明。ちゃんと頼れば人間関係の預金になる
- 技術は「15分ルール」「経過を見せて聞く」「結果報告で締める」の3つ
いま何かを1人で抱えている人へ。それ、隣の人に見せたら30分で終わるやつかもしれん。15分だけ粘って、あかんかったら頼ろう。